カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2009年11月12日 (木)

それから/夏目漱石

姜尚中氏の本に触発されて、初めて夏目漱石の『それから』を読みました。

読み始めてから知ったのですが、本著が毎日新聞上で発表されてから今年でちょうど100年だそうです。

100年前に書かれたとは思えない本ですね。

夏目漱石という人が時代の先を予見していたのか、それとも100年経っても人の内面が変わらないのでしょうか。

 

主人公は、30になっても親の脛をかじって生活し、"パンを食べるための労働"を否定し、結婚もせず、思索する日々を送っている代助。

現代でいう"ニート"ですね。

弁は立ち、高尚な趣味を持っているから、自分を"高尚な人間"と見て、他人を卑下している。それでいて自分からは何もしない男。

・・・うーん、現代社会に沢山いそうです(私もそういう性格に近いかも)。

しかし、明治時代にこういう性格の主人公を作ったというのは意外ですね。

 

そんな彼が、かつての親友と再会し、以前彼に周旋した妻と不倫関係に陥る・・・という話です。

何事にも情熱を燃やしたことがなかった代助が、突然不倫に目覚めます。

常に論理的な思考をし、情熱や誠実を否定していた代助が、支離滅裂な論理で不倫に目覚め、破滅に堕ちていく・・・というプロットが面白いですね。

 

最終的には何もかも失い、自分が嫌っていた"パンを食べるための労働"を強いられることになり、物語は終わります。

ただ、解説等を見ると「悲劇」とか書かれていますが、必ずしもそうではないのでは?と思いました。

その後の代助については描かれていないわけですけど、本来能力の高い人間だし、働く気になれば働けそうな気もします。

"生まれ変わるためには激しい痛みを伴う"ということを描いた小説とも取れるんじゃないかなぁとか考えました。

 

人それぞれ捕らえ方は違うと思いますが、私はなぜか「悲劇」のこの本に勇気付けられました(笑)

明治時代にもこんな人がいるんだもの、今の世の中ならもっと当たり前にいるさ♪

少なくとも自分は代助ほど堕ちていないという安心感。

 

一方で考えたことは、やはり"考えすぎ"は身を滅ぼすのだろうということ。

人の脳はそこまで高尚にできていないことを、漱石は知っていたんでしょう。

代助は考えすぎた挙句、行動に移せない典型だと思いました。

考えれば考えるほどベクトルが変な方向に向いていく・・・upwardleftupwardrightdownwardleft

そんな代助に同情しながら、自分にも「我がふり直せ」と考えた一冊でした。

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2009年11月 3日 (火)

秋の、読書。

最近、読書の量が増えました。

"読書の秋"・・・だからではなく、『ドラクエⅨ』に飽きてその時間が空いたからです。

 

まずは、五木寛之著『百寺巡礼 第七巻 東北』(講談社文庫)。

『百寺巡礼』シリーズで唯一の東北編です。

山形県の山寺(立石寺)に行く予定があったので(断念しましたが)読み始めました。

五木先生のエッセイは読み易いし、深いし、読んでいると高尚な気分になります

私が先生の文章を好きなのは、古きを研究し考察しながらも、決して現代を否定しないところです。

混沌とした現代の中で常に真たるものを見つけ出そうとしている姿勢に憧れます

私もそういうふうにありたいものです。

 

続いて読んだのが、北村薫著『玻璃の天』(文春文庫)。

ベッキーさんシリーズの第2作です。

比べるのもナンですが、前作『街の灯』よりもこちらの方が私には面白かったです

相変わらず、花村英子嬢が14歳の令嬢とは思えない推理力を発揮します。

登場人物も揃ってきて、ベッキーさんの秘密も明らかになってきて・・・

第3作『鷺と雪』がとても気になります。

しかし、文庫で発売されるのは当分先でしょうね。単行本で読みたいと思います。

 

そして最後に、松田力著『大人のための自転車通勤読本』

58歳にしてロード・バイクに跨り通勤する建築家の自転車エッセイです。

本格的な自転車に興味があると私が喋っていたら、仕事の取引先の方が貸してくれました。

非常に楽しそうな自転車通勤ライフが描かれていて惹かれる部分もありますが、ちょっと年齢や感覚が私に合わないのか、読みづらかったです。

最後の方は、自転車とあまり関係のない話も多かったですし(苦笑)

でも、自転車で都内を走って通勤っていいなーと思います。

憧れますね。

 

こんなところで。

次は夏目漱石の『それから』を読もうと思っています。

ジャンルがバラバラー!penguinpenguin

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2009年10月11日 (日)

時刻表に見るスイスの鉄道/大内雅博

「鉄オタ」と自称できるほどではないですが、鉄道は好きですsubway

写真に撮るのが好きな人、Nゲージが好きな人、乗るのが好きな人、新幹線好きにSL好き・・・単に鉄道好きといっても、いろいろなタイプがいます。

私は時刻表が好きですsubway

暇があると時刻表を開いて、机上旅行をしています。

考えているうちに、本当に旅行に行きたくなります。

 

さて、そんな私が書店で『時刻表に見るスイスの鉄道』(交通新聞社新書)という本を見つけました。

時刻表も好きですが、スイスも好きです。

一度は行ってみたい憧れの地です。(実際には3時間ほど行ったことがありますが・・・)

そんな好きな"言葉"が2つもタイトルに入っているのですから、きっと面白い本に違いない!と思いました。

 

文字通り、スイスの鉄道、それも時刻表についての考察が書かれた本です。

ある意味すごく硬派な本で、スイスの観光名所等は一切扱わず、ひたすらに「いかにスイスの時刻表が美しいか」を述べています。

最後の章には「各駅見所ガイド」というタイトルが付けられていて、駅の周辺の観光地などについて書かれているのかと思いましたが・・・

しかし、読んでみると、まさしく「駅」のことについて延々と述べられていて、駅の構造、列車の発着の形態、距離と運賃などについて語られています。

 

正直、この本を楽しめる人は、相当なツワモノだと思います(笑)

スイスの地理がわからないので、イメージがわかないんですよね。

地図帳を隣に置いて読んでも、細かい部分まではわからない。

イメージがわかないので、理解が難しかったです。

 

ただ、参考になることは多いです。

例えば、スイスの列車はスピードがあまり早くなく、本数も少ないけれど、乗り継ぎが便利なのでフラストレーションが貯まらずに目的地に着ける、とか。

自動車を運ぶ列車があり、山(アルプス)を越えるために利用されている、とか。

実はこれを読んでいる最中に、仕事で電車関係の話があって、ちょっと役立ちました。

 

何より感心したことは、スイス鉄道の情報公開の素晴らしさですね。

筆者の方がスイスのインフラの将来像について詳しく語っているので、「どこで調べたんだろう?」と思ったら、全てネット上で情報公開しているんですね。

そして、スイスの鉄道は、現在進行形で大幅なマイナーチェンジを行っています。

列車本数の大幅増、新しいトンネル(路線)の開拓、国境を越える列車の増便・・・

日本では、せいぜいJR・私鉄間の乗り入れや、リニアモーターカーの導入が目玉ですが、それよりも劇的な変化をしているように思います。

公共交通機関のインフラ整備に巨額の投資ができるのは、羨ましい限りです。

 

筆者の方の熱心な調査にも頭が下がりました。

スイスで電車の旅などしてみたいですねぇ。

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2009年9月28日 (月)

街の灯/北村薫

約10年ぶりに北村薫氏の本を手にとりました。

直木賞受賞後、我が埼玉県出身の作家ということで度々新聞の地域面にも登場し、親近感がわきました。

 

以前、『空飛ぶ馬』を読んだ時には、ミステリばっかり読んでいる頃でした。

正直に言うと、そのときの感想は「これはミステリなのか?」という疑問符でした。

殺人事件、あるいはそれに次ぐ重大事件を扱い、その謎を解くのがミステリだと思っていたので。

しかし、この作品では重大事件は発生せず、日常の小さな謎を解いていくというものでした。

当時の私には衝撃でしたが、刺激的ではなかったため、以来、氏の作品を読んでいませんでした。

 

さて、『街の灯』でも、大きな事件ではほとんど扱われていません。

最初の話だけが殺人事件で、あとは暗号や偽装事件というもの。

しかし、私が大人になったためか、刺激がなくても楽しめるようになりました

何より作品の雰囲気がいいです。

昭和初期という暗い時代を背景にしながら、令嬢と女性の運転手が主役になっていて、華やかです。

 

特に主人公であり、物語の語り手である花村英子が魅力的です。

ミステリでありつつ、彼女の成長記になっているような気がします。

同じくミステリの主人公で令嬢である西之園萌絵サンより魅力的かな(笑) 

 

そして、当時非常に珍しかったであろう女性運転手・別宮ことベッキーさん。

彼女の意図はこれから明らかになっていくのでしょうが、不思議なキャラクターです。

最初は、彼女がホームズなのかと思ったら、違うんですね。

かといって、ワトソンでもない・・・。

ミステリでの立ち位置としては、不思議な位置ですねぇ。

敢えて言うなら、三毛猫ホームズのホームズみたいな?

 

この"ベッキーさん"シリーズ、次が気になるなぁ。

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2009年8月29日 (土)

ちょっとマニアックな、好きな"名探偵"

中禅寺秋彦、エルキュール・ポアロ、古畑任三郎、浅見光彦、ブラウン神父、それからもちろん江戸川コナン・・・

好きな"名探偵"、たくさんいます。

地道にコツコツやる探偵よりも、奇抜な発想で真相を看破するタイプの名探偵が好きです。

 

他の方の"コネタマ"を見ていると、上に書いた名探偵を「好きな名探偵」に挙げている人が多いですね。

あまのじゃくな私としては、それではおもしろくないので、たぶん皆さんが挙げないところを挙げます(笑)

私の好きな"名探偵"は、ヘンリー・ジャクスンです。

 

「ロボット三原則」を作ったことでも知られるSF作家、アイザック・アシモフが著した『黒後家蜘蛛の会』シリーズに登場する名探偵です。

"黒後家蜘蛛の会"というのは、作中に登場する化学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門家の6人からなる会。

彼らが専門的な知識を使って、様々な不可解な謎に挑もうとするのですが、いつも解けず仕舞になってしまいます。

困った挙句、彼らはいつも給仕のヘンリーを呼び、ヘンリーは事も無げにその謎を看破する、という話です。

 

一介の給仕であるヘンリーに、高名な学者たちが頼るというプロットが面白いんですよねぇ。

すべて短編作品なので読みやすいのも嬉しいです。

シリーズ第1作に収録されている『明白な要素』という作品が、私のお気に入りです。

 

あー、久しぶりに読みたくなってきたなぁ。

コネタマ参加中: あなたが好きな“名探偵”は誰ですか?

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2009年7月 1日 (水)

プロ野球の一流たち/二宮清純

二宮清純『プロ野球の一流たち』(講談社現代新書)を読みました。

本書の前半は、タイトルのとおり"プロ野球の一流たち"について。

楽天・野村監督の配球論をはじめ、中西太や土井正博のコーチ論、松坂大輔・渡辺俊介・工藤公康のピッチング論など、一流選手たちの考え方に触れられます。

 

非常に興味深いです。

私はそれほど野球に詳しくないので、「ここまで考えてプレイするスポーツなのか」と驚かされました。

プロローグの部分に、野球の実働時間は試合時間の2~3割程度であり、休んでいる時間が多いという話が載っています。

しかし、野村監督いわく、休んでいる時間は"考えろよ"ということ」だそうです。

野球というと、汗と練習・・・「巨人の星」のようなイメージですが、本当は考えなければいけないスポーツなんですね。

結構、目からウロコでした。

 

本書の後半は、前半の一流論から一転、日本野球の今後について考えを述べた記述に変わります。

前半を楽しく読ませて、後半に筆者の本当の言いたい事をカマそうという意図ですかね。

裏金問題やドラフト問題、独立リーグなど様々な問題について投げかけを行っています。

 

カネと様々な思惑が交差する野球業界・・・

この話を信じると、とてもクリーンなスポーツとは思えませんね・・・(残念ながら)

どこの世界でもそうですが、一部の人が利益を寡占してしまうような構造はおかしいですね。

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2009年6月24日 (水)

言語世界地図/町田健

私は本屋萌え人間です。

本屋に行くと、若干の興奮を覚えます。

ただし、購入はあまりしません┐(´-`)┌

面白そうな本を探して見て回るだけ・・・というのがほとんどです。

書店にとっては迷惑な客です(苦笑)

 

以前の私は文庫コーナー、特にミステリのコーナーしか見ませんでした。

読む本の95%はミステリでした。

しかし最近は、以前の私が絶対に読まなかった"新書"にハマってます。

新書って何かおカタい感じがして敷居が高いイメージがあったのですが、最近の新書は興味をそそられる本が多いです。

 

前置きが長くなりましたが、タイトルに挙げた町田健著『言語世界地図』(新潮新書)もその中の1冊です。

世界の言語は6千から7千あるそうですが、そのうちの主だった50弱の言語について書かれています。

いろいろな言語に触れている分、あまり掘り下げてはいないのが少し不満ですが、知らない言語が実は身近な言葉の語源だったり、日本語と形が似ていたりと面白いです。

 

よく「日本語は難しい」と言われますが、実際はそうでもないみたいですね。

欧米人の感覚では難しいというだけで、世界には日本語と似た作りの言語が多いようです。

英語の疑問文・否定文を習った際に、なぜ突然"do"が出てくるのか疑問に思いましたが、言語学でもこれは不思議な現象だということです。

英語も難しい言語のようですね。

 

また、日本語を喋れば日本全国通じる私達には解りにくい感覚ですが、世界には同じ国内ですら自分の言語が通じない国がたくさんあるようです。

たとえば、インドには10を超える公用語があるとか。

それでは不便すぎるので、インド英語と呼ばれる亜流の英語を使ってコミュニケーションを取るらしいですね。

そのようにして、世界では英語を使わなければいけない環境がたくさんあるということです。

 

この本を読んで、いかに日本語が成熟しているかを実感するとともに、日本人の全てが日本語を話すことに改めて感動しました。

こういう国は、世界中から見れば例外中の例外なんでしょうね。

日本語ってすごい。

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2009年4月18日 (土)

雪密室/法月綸太郎

新本格ミステリの代表的な一人と呼ばれる法月綸太郎作品を初めて読みました。

筆者の第2作にあたる『雪密室』は、名探偵・法月綸太郎が登場する第1作でもあります。

 

内容は非常にシンプルで、一つの殺人事件があって、そのトリックと犯人を名探偵が暴くというもの。

エラリィ・クイーンのファンらしく「読者への挑戦状」が付いています。

 

「これぞ本格」と思わせる一方で、刺激の強いミステリに慣れてしまった身としては、若干の物足りなさも感じます

"密室"は本格ファンなら聞いただけで小躍りしてしまう言葉ですが、トリックを聞くと「なーんだ」と一気に冷めてしまうことが多いです。

この作品も、その多分に漏れず・・・という印象でした。

 

しかし、決してトリックだけに頼るのではなく、それぞれのキャラクターの付け方とか、さすがに上手いなーという印象を受けました。

特に、物語の主人公の一人である法月警視のキャラクターがいいですね

警視庁警視としての誇りと、一人の人間としての脆さ、父親として息子に捧ぐ愛など、様々な感情が同居している、とても魅力的なキャラクターだなと思いました。

彼の息子である名探偵・綸太郎はあまり出て来ず、出てきても描写されていないのが残念ですが、この後のシリーズで広げていくのでしょうね。

 

もう何作品か、氏の作品を読んでみたくなりました。

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2009年2月23日 (月)

国家の品格/藤原正彦

藤原正彦氏の『国家の品格』

3年前のベストセラーですが、今こんな時代だからこそ読んでみたい一冊

資本主義、市場主義、金銭至上主義が破綻した今、我々は生きていくべきかを考える上で、一つの指針になる本だと思います。

 

この本が話題になった時に、私にとって衝撃だったのは、『品格』という言葉でした。

久しく忘れ去れていた"死語"だったように思います。

しかし、この『品格』という言葉を聞いて、なんて美しい言葉だろうと思った記憶があります。

 

さて、私がこの本を読んで、目からウロコが落ちた主張を3点。

 

①論理は必ず正しいものではない

私は数学をちょっと学んだ者なので、論理的に正しいこと=正しいことだと思ってしまいがちです。

実際に、論理的に正しい説明を求められることも多くあります。

しかし著者は、論理が正しくてもその結論が正しいとは言えないと言います。

その理由として、論理の起点に誤りがある可能性を指摘しています。

確かに、いくら正しい推論ができていても、その起点が間違っていれば結論は誤るわけですよね。

論理にばかり目が行っていると、そういう当たり前のことを忘れてしまいがちです。

論理は必要だが、何でも論理で片づけるのは良くないと述べられています。

数学者である著者の言葉だからこそ、逆に説得力があります。

 

たとえば、「なぜ人を殺してはいけないのか」

これを論理的に説明しようとした本はいくつもありますが、著者はこれを論理的には説明できないと言います。

では、なぜいけないのか。

答えは明瞭です。

いけないからいけない、それだけです。

 

②市場主義は欧米が生んだ過ち。

欧米の市場主義を徹底的に否定しています。

だからといって、共産主義を肯定しているわけではなく、共産主義も否定しています。

 

日本社会は、どんどんと欧米化しています。

実力主義・人事評価・自由競争が跋扈する世の中・・・果たしてそれでよいのでしょうか。

「改革」という言葉だけが先行し、何を改革しているのかわからない中で、単に甘い言葉に誘惑されているだけのような気がしませんか?

 

確かに、私もそんな甘い言葉に憧れていたこともありました。

ただ、この数ヶ月、テレビや新聞で流れるニュースを見ていて、そういう甘い言葉は強者が弱者をいじめるためにあるのだなと、つくづく感じました。

大規模な派遣切りに、いったい何の意味があるのでしょうか。

会社は誰のためにあるのでしょう。商法とか習うと、「株主のため」と言っています。

それは嘘です。絶対に嘘です。

会社はそこで働く社員のため、社員の家族のためにあるのだと思います。

それを「改革」という名の下に、簡単に切っていく。信じがたいエゴです。

私は、正社員の給料を半分にしてでも(偉い人は7、8割カットしてでも)、雇用を守るのが会社の義務だと思いますけどね。

 

③真の国際人とは、自国の文化を理解している人

この本を読んでいるうちに、この著者は欧米に批判的な単なる右よりな人なのか?と思ってしまいましたが、大きな誤りでした。

著者は他の国の文化を否定しているわけではなかった。

ただ、日本が最も素晴らしい国だという主張をしているだけでした。

 

おそらくですが、著者の考えは、全ての国にいいところがあるが、日本人は日本の良さを主張しない、ということなのじゃないかなと思いました。

そもそも、私達の世代は、日本の良さなんてことを考えないような気がします。(私だけか?)

私は神社仏閣が好きですが、その歴史や文化についてはあまり知らない。

古典作品を読んだりもしないし、俳句や短歌を嗜むわけでもない。

そういう風潮では、自国の良さを説明できず、英語が喋れたところで国際人にはなれないと著者は言います。

確かに、「日本の文化について教えてくれ」と言われても教えられません。

読んでいて、そんな自分に恥ずかしさを覚えてきました。

 

長くなりましたが、私が読んでいて感銘を受けた3点を簡単にまとめてみました。

もちろん上記以外にもいろいろ書いてあります。

納得できる部分もあるし、納得できない部分もあります(エリート主義は反対)。

でも、著者の言うように「金の豊かさ=国の豊かさ」という考え方は、改めるべきですよね。

金が無くったって、誇れる何かを持っている・・・そんな『品格』を持った人間の集まる国でありたいものです。

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2009年2月10日 (火)

百寺巡礼 第一巻-奈良-/五木寛之

五木寛之著『百寺巡礼』の第一巻を読みました。

6年近く前の本になりますね。

今、文庫版が5巻まで発売されているところです。

ただ、私は文庫版が発売されていることを知らなくて、単行本で買ってしまったのですが・・・。

まぁ単行本には単行本の味わいがあるから、いいとしましょう。

 

第一巻では、五木先生が奈良県にある10の寺を巡ります。

一巻目が奈良から始まっているというのは、やはり日本の文化の起源が奈良に興っていることによるのでしょうか。

室生寺に始まり、長谷寺、薬師寺、唐招提寺、秋篠寺、法隆寺、中宮寺、飛鳥寺、當麻寺、最後に東大寺で結びます。

薬師寺、唐招提寺、法隆寺、東大寺は知っていますが、不勉強なもので、他の寺はしりませんでした。

 

奈良には、中学校の修学旅行で行ったきり、かれこれ14年も行っていません。

京都や滋賀には、結構足を運んでいるのですが・・・私の中で、奈良はもっと大人になってから行こうという意識がありました。

行っても、その良さがわからない気がして。

でも、この本を読んでいたら、行ってみたくなりました。

 

五木先生は、この本の中で、寺の建築や仏像を見る時に知識はいらないんだ、ということを何度かおっしゃっています。

見たまま感じるままでいい、そうおっしゃいます。

もちろん、先生は詳しい知識を持っているわけですが、そう言われると素人の私が見てもいいのかなと思い直しました。

この本を読んでいると、先生は女性の仏像を見てエロティックな気分になっていたりしています^^

そんな五木先生を想像すると微笑ましくて、でも、そういう見方でいいんだなーと思えてくるのです。

 

また、寺というと、堅苦しいとか形式ばっているとか、そういう偏見があったのですが、

その歴史や地域との関連性に触れてみると、親しみが沸いてきました。

 

巡礼というと古風な感じがしますが、五木先生の考え方は決して古い考え方ではありません

巡礼という何百年と続いてきた文化を、現代の私達に優しく語りかけて教えてくれる本です

70を超えてなお新しいことに挑戦し、新しい考え方を取り入れていく姿勢に、心を強く打たれました。

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2009年1月29日 (木)

観光都市 江戸の誕生/安藤優一郎

江戸時代の文化に興味があります。

元々時代劇が好きだったこともあり、江戸時代に妙に憧れます。

しかし、幕末や赤穂浪士が好きだ、という人は結構いますが、文化が好きだという人はあまりいない気がします。

 

好きと言っても、知識はそれほどありません。

ただ、ぼんやりと、「江戸時代の人はどんな暮らしをしていたのだろうか」「何を楽しんで生きていたのだろうか」・・・そんなことを考えているのが好きです。

 

そんな折、図書館で一冊の本が目に入りました。

それが、安藤優一郎著『観光都市 江戸の誕生』(新潮新書)です。

この本は、江戸時代の観光ビジネスについて書かれた本です。

参詣ならともかく、江戸時代に観光ビジネスなんてあったの?なんて思ってしまいましたが、この本によれば、現代と変わらない観光ビジネスが成されていたというのです。

 

たとえば、寺社が保持する宝物などを披露する御開帳。

単に御開帳をするだけでは人は集まりませんから、相撲や芝居、見世物などの興行を行ったり、街中を練り歩き宣伝をしたり。

その寺社を題材に歌舞伎を作ったり、双六・手ぬぐいなどのグッズを作り、人を呼び込んだという話です。

 

昔の寺社が、そんなプロモーション活動をしていたなんて、驚きでした。

使う媒体は違えどメディアミックスをしていたり、観光地の流行り廃りなど、現代に通じるものがかなりありますね。

決して敬虔な信徒たちだけが参詣をしていたのではなく、その周りにある娯楽や食事が楽しみで参詣していた人が多いということを読んで、親近感がわきました。

江戸時代の人も、しっかりと生活を楽しんでいたようですね。

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2009年1月19日 (月)

自遊人 1月号

10日ほど前に『自遊人』という雑誌を買いました。

本屋をぐるっと回っていたら、目に入った特集が気になったので。

その特集は、「夜汽車に揺られて・・・。」

ブルートレイン「富士」「はやぶさ」が3月で消えようとしている中での特集でした。

ブルートレインは過去に2度ほど乗ったことがあります。

特に小学生の時に山口へ行った際に乗った時は、感動しましたね。

その他にも、「北斗星」「トワイライトエクスプレス」「サンライズ」など、日本を走る全ての寝台列車が掲載されていました。

「カシオペア」は一度乗ってみたい・・・

もう一つの特集は、「冬のローカル線ひとり旅。」。

ローカル線大好きな私としては、これを見たら買うしかないです^^

特集されていた3つの路線のうち、只見線は昨年乗り、秋田縦貫鉄道は今年の正月に乗ってしまいましたが(笑)

只見線は、新潟県の小出駅と福島県の会津若松駅を結ぶ列車。

始点から終点まで走るのは、1日3本だけというローカル列車です。

雑誌の特集では途中下車していますが、下車するのはなかなか勇気が要りますねww

残す一つの列車・津軽鉄道も乗ってみたい・・・

まだまだ日本には乗ってみたい列車がたくさんありますねchick

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2009年1月 8日 (木)

京極夏彦「絡新婦の理」

京極堂シリーズの第5作目「絡新婦の理(じょろうぐものことわり)」を読み終えました。

分冊ではない文庫本で読んだのですが、1,400頁近くあって、本が重い重い(笑)

持ち歩くのが大変です。電車内で立って読むのはもっと大変です。

しかし、そんな1,400頁を飽きさせずに読ませてしまうのが京極先生の凄いところです。

シリーズの中で、この作品の特筆すべきは、構成の素晴らしさでしょうか。

小説の冒頭いきなり、京極堂による犯人の告発シーンのようなところから始まります。

「えっ」と思っているうちに、シーンが終わり、全く別のシーンになります。

ここが今作の最大の「仕掛け」ですね。この仕掛けだけでも、読む価値のある作品です。

それから最初の何章かの章末にある男女の会話も、一つの「仕掛け」になっています。

驚かされます。

ただ、事件全体としては――これは私の好みの問題ですが――前作「鉄鼠の檻」の方が好きです。

今回は、犯罪者も死体も多すぎる――ような気がします。

その中心で事件を動かしている「絡新婦」に対しても、どこかキャラクターに違和感を持ったというのも遠因かもしれません。

それから、京極堂シリーズにしては女性が多すぎる。もっと男臭い作品が好きです(笑)

とはいえ、名作だと思います。

京極堂シリーズの完成度が高すぎるから、何か言いたくなって、言ってみてるだけですので、ファンの方はお気を悪くしないでくださいね。

次は、「塗仏の宴」かー・・・あれは長すぎるな・・・

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